月曜朝の「絶望」は、金曜夜に回避できる。
月曜日の朝、期待に胸を膨らませてチャートを開いた瞬間、自分の損切りラインを遥かに飛び越えて大損失が発生している……。これは多くのトレーダーが経験する「週末の罠」です。
土日は市場が閉まっていますが、世界は止まりません。戦争、テロ、選挙、あるいは突発的な災害。これらの地政学リスク(※1)は、市場が閉じている間に蓄積され、月曜朝の「窓開け」となって噴出します。日足トレーダーにとって、金曜夜の過ごし方は、週明けの運命を左右する極めて重要な「守りの儀式」なのです。
※1 地政学リスク:特定の地域が抱える政治的・軍事的・社会的な緊張が、経済や相場に悪影響を与えるリスクのこと。
「窓開け」の恐怖:ストップロスが機能しない瞬間
通常、私たちが設定する逆指値(ストップロス ※2)は、価格がその地点を通過した際に発動します。しかし、週末に重大なニュースが出ると、月曜の開始価格が金曜の終値から大きく離れて始まる**「窓開け(ギャップ)」**が発生します。
※2 ストップロス:損失を限定させるための予約注文(逆指値)。
ここで恐ろしいのは、**「窓の中で価格が飛んでいる間は、注文が約定しない」**という事実です。
例えば、150.00円で損切りを設定していても、月曜の朝に148.00円で窓を開けてスタートした場合、決済されるのは148.00円になります。この「想定外の滑り」が、一発退場を招く自滅の引き金となるのです。
金曜夜のルーティン:3つのチェックリスト
週末を安心して過ごすために、寝る前の10分で以下の3点を確認しましょう。
- ① 未決済ポジションの「最大リスク量」を再計算するもし月曜朝に100pips〜200pipsの窓が開いた場合、自分の資金に何%のダメージがあるか? それは許容範囲内か? をシミュレーションします。
- ② 週末の「重要イベント」を把握する主要国の選挙、国際会議(G7など)、あるいは中央銀行総裁の発言予定など、週末に「相場を動かす決定」がなされる予定がないか確認します。
- ③ 通貨ペアの特性を考える有事の際に買われやすい「円」や「スイスフラン」、あるいは地政学リスクに敏感な「ゴールド(金)」などを保有している場合、通常時よりも警戒レベルを引き上げる必要があります。
日足トレーダーが取るべき「3つの選択肢」
リスクを把握した上で、あなたは以下のいずれかの戦略を選ぶことになります。
| 戦略 | 内容 | メリット | リスク |
| A:全決済(スクエア) | すべてのポジションを閉じる | 週末のリスクを「ゼロ」にできる | 週明けに有利に動いた際の機会損失 |
| B:ロットを半分に落とす | ポジション量を縮小する | 窓開けのダメージを最小限に抑えつつ、トレンドに乗る | 想定外の損失リスクは残る |
| C:損切りを「同値」へ | エントリー価格に損切りを移動 | 最低限の利益や建値を守る | 窓開けで価格が飛べば、やはり損失が出る |
特に地政学リスクが緊張状態にある時は、迷わず「A:全決済」を選べるのがプロの判断です。
※3 スクエア:ポジションを一切持っていない中立の状態。
自滅を避けるための「メンタルの防衛」
「週末にポジションを持ち越していれば、月曜に爆益だったのに……」という後悔。これが最も危険な自滅の種です。
投資において最も重要なのは、一度の大きな負けで退場しない「生存」です。週末の窓開けに賭ける行為は、もはや投資ではなくギャンブルです。特に会社員として働く私たちは、貴重な休日を「ポジションの心配」に費やすべきではありません。金曜夜にリスクを整理し、ノーポジションで月曜を迎えることは、精神衛生上の「最大の利確」と言えるでしょう。
まとめ:月曜を「期待」で迎えるか「恐怖」で迎えるか
資産形成とは、単にお金を増やすことではなく、リスクをコントロール下に置く技術です。
週末の「空白の時間」をどう扱うか。それは、あなたが相場をギャンブルとして捉えているか、ビジネスとして捉えているかの試金石です。金曜夜の10分間の整理。この小さな習慣が、あなたの週明けのパフォーマンスを安定させ、トレーダーとしての寿命を劇的に延ばすことになります。月曜の朝、清々しい気分でチャートを開くために、今夜から「守りの準備」を始めましょう。


